教育天声人語
「退職代行業者が繁盛」を考える


  皆さんも、GW 明けに、新聞、テレビで“退職代行業者が大繁盛”という報道を目にした
 り、耳にしたりしたのではないだろうか。もちろんとんでもないブラック企業だったり、
 パワハラ上司だったり、ハードワークで体を壊したり……といったどうしようもない理
 由もあるだろう。
  がそれにしても、インターンシップ、就活を経て入社した企業を3 割が3 年で辞めて
 しまうことは、私はものすごくもったいないと感じる。なぜ辞めてしまうのだろう。
  ふつうは当人と企業の関係で考えるのだろうが、私は仕事柄そのずっと手前の子育て、
 中高の学校現場の姿勢という次元で考えてしまう。
 ・子どもにとって楽しく快適な環境を用意するということを保護者も学校も止めたい。
 ・勉強についても一律に大量の宿題・課題を出すことを止める。何をどうやるか、自分で
  試行錯誤させる。うまくいかなくても、時間がかかっても手を出さない。
 ・思うようにいかない経験、不本意な経験を意図的にたくさんさせる。グループで活動す
  る場合も、意図的に背景が異なる苦手な生徒と組ませる。
 ・海外研修でも英語力の向上といった成果を求めるのではなく、“タフにする”といった人
  間力養成のほうを目指す(国内研修でもポスターセッションにいくのではなく、生徒間の
  やり取りに比重を置く)
  といった具合に、保護者も学校も無意識に持っているタイパ(短時間で効率よく成果を
 上げる)の感覚を捨て、時間がかかっても子ども自身に迷わせ、悩ませ、自力で解決させ
 る。そうしたスタンスで様々な非認知能力が身に着けさせことが、「3 割が3 年で退職」
 という悲劇の唯一の解決策ではないだろうか。

「ビジョナリー」2024年6月号掲載     |もくじ前に戻る

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