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出版社時代の最後の数年、社長命で「教育情報プロジェクト」を主宰していた。幼児、
小学校、中学校、高校、大学、就職の各部門から優秀な若手を選抜してプロジェクトチー
ムを組んだ。それぞれ状況の異なる部門からの出身者だったので、“教育”という共通
の串となる “志”のようなものを持ちたかった。
で、フランスの詩人ルイ・アラゴンの『ストラスブール大学の歌』の1節である次の言
葉を皆に示し、発行物の表紙にも入れた。
教えるとは共に希望を語ること、学ぶとは心に誠実を刻むこと
私自身も保護者向け講演でよく話すが、今学校は「VUCA 時代を生き抜くためのスキ
ルをつけます」ということを盛んに表明している。保護者が、わが子が将来巣立つ社会が
これまでとは大きく異なる厳しいものになるという不安を抱いているので、生き抜くための
スキルを求めているからだ。
が、どうなるかわからないVUCA の時代だからこそ、むしろ個々のスキルのベースと
なる能動的姿勢、出力の高いエンジン、人の役に立ちたいという“志”といった根本こそし
っかりつくることが大切なのではないだろうか。この詩の1節はそれを言っているのだ
と思う。
生徒が学校に来ることが楽しい、大人になることが待ち遠しい、早く社会に出て活躍し
たい…そんな気持ちになればそれで充分。そして人の話、意見に素直に耳を傾けて、人に
誠実に向き合えればそれで充分。些か牧歌的に過ぎるかもしれないが、それが教育の原点
で、それができれば生徒は勝手に成長していく、そんな“像”が私の理想である。
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