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ある女子校の記念誌の巻頭に載せるということで、4 人による座談会が持たれた。その
女子校の校長は当然として、他の3 人は、ある私大の学長、別の私大の国際教養学部長
それに私(安田)だった。驚いたことに、学長は大手商社の副社長だった人で、学部長
は医学博士という異色な顔合わせ。
女子校であるから、女性の生き方が話題になる。大手商社の副社長だった方が「おお
ざっぱな言い方をすれば男子社員は『地位』にこだわり、女子社員は『職種』にこだ
わります。就職でいえば、男性は『就社』であり、女性のほうが本来の『就職』です」
そのことで、自分の会社員時代を思い出した。男子社員は1つの組織の中で出世する
ことを考えるから、有休もあまりとらず、会社・上司の意向を忖度して行動しがちだっ
た。一方女子社員は結構長い休みを取って海外旅行に出かけたり、キャリアアップを考
えて留学したり、転職したりしていた。
いろいろな人の人生を眺めても、これまでも女性のほうが「自由度が高い」。女子は
今後制度的にも環境的にもさらに活躍の余地は広がるはずで、それを応援したい。一方
今の日本の停滞を考えると、先進国で一人負けし、格差が拡大している要因は「日本人
男性、中高年、有名大学卒、正社員」という属性を持つ者が日本社会の正会員だったか
らではないだろうか。現在の政界・官界・財界を見ていると、男子をもっとイノベーテ
ィブに、また自分が属する組織以外の人のことを考えるように育てることが、衰退途上
国から脱出するうえでの必要条件のように思えてきた。
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