教育春秋
才能は「恵まれた環境」から生まれた訳ではない
 W杯に日本が残っている間は、試合中のプレイと勝敗ばかりに注目していたし、またそれにしか関心がなかった。が、敗れて帰国してから、雑誌等に選手のプライベートが載るようになると、新たな発見の数々がある。

 本田も、長友も、駒野も、決して恵まれた環境でサッカーをやれていたわけではなかった。親の離婚、死別といった辛い境遇の中で、ひたすらサッカーに打ち込んできた日々。
11日の日曜日も、バスの中で老人がこんな会話をしていた。「長友が西条(愛媛)出身ということ、お前知っていたか」「いや。確か福岡の高校から明治に進んだんだろ」「高校は福岡の東なんとかという高校だが(注:東福岡高校)、中学は俺達の母校ではないが、西条なんだ」
 サッカーのために親元を離れて遠くの強豪校に進学した長友は、いままたイタリアへと旅立った。
 本田は母親に仕送りし、駒野は父親亡き後、弟の大学の学費を出しているという。

いま親たちは、わが子に「恵まれた環境」を用意することに一生懸命だが、「恵まれた環境」が子どもを弱くし、チャレンジ精神をなくしているのではないだろうか・・・。

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「安田研通信」2010年7月号

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